なぜ、子どもの要求を受け止められないのか?

子どもの心は要求(甘え)を満たすことで成長していきます。

しかし、その要求に親が応えられない場合。
例えば、”甘え”を”甘やかし”として聞き入れない、
”厳しいしつけが必要”として要求をはねつける、などです。

このような場合は、子どもの要求は抑え付けられ溜まっていきます。
溜めていく器にも容量があるので、入りきらずに爆発することもあれば、
次から次へと入ってくるために抑え付けられてやがて歪むこともあります。

小学校で不登校になったり、中学校で家庭内暴力を起こしたり、
統合失調症や神経症、対人恐怖症・うつ病を発症したり、
結婚後、子供を産んでも育てることができなかったり、
子どもを虐待したり、さまざまな形でSOSを発していきます。
それくらい、怖いことなんです。

ではなぜ子どもの要求を受け止められないのか、
親の心の中には何が起こっているのか、という
わかりやすい考え方をご紹介します。

まず、そのような親自身も同じように
機能不全家族で育ち、心の中にいる
インナーチャイルドと、インナーペアレンツが作用しています。

072.gifインナーチャイルドとは

親の不適切な関わりにより、抑え付けられた欲求を抱えた
子どもの頃の自分の感情です。

■子どもが”抱っこして””遊んで”などの要求をしたとき、
それに応えられずにイライラが募り冷たくしてしまう、
怒鳴ってしまう、頭ではわかっているけれど
感情がついていかない、など。

■具体例
・子どもが泣き止まない
『いつまで泣いてるの。いい加減にしなさい!』

・子どもが片付けをしない
『片付けなさいって言ったでしょ!』
『何度言ったらわかるの』
『どうして言う事聞けないの?』

・『やめなさい!』
『静かにしなさい!』
『ダメ!』
という、頭ごなしの禁止など。

これらは、幼い頃の親自身の感情インナーチャイルドが
過去の自分と同じような状況(子どもと関わること)
により記憶を刺激され登場し、

『わたしは我慢してきた!』
『親の言う事を聞いてきた!』
『お前だけ甘えることは許さない!』

と、怒っているのです。
そのような自分に気づいて欲しいという、SOSなのです。

072.gifインナーペアレンツとは

■子ども時代に親から言われ続けた不適切な言葉や態度が
自分の中に刷り込まれ、暗示にかけられたように
それが自らの言葉・考え方・態度としてその後も
自分自身を縛り、追いつめます。
自身の中に、不適切な親(インナーペアレンツ)が住み着いて
大人になってもそれに操られているようなことです。

■『ほんとにダメな子ね』
『あなたがそんなことするからでしょ』
『わるいことばかりして』
『我慢しなさい』
『お兄ちゃん(姉)なんだから〜〜しなさい』
『甘やかしてばかりいるからそんなことになる』

このような言葉が大人になり

『わたしはダメな、弱い人間』
『わたしのせい・わたしがわるい』
『わたしはずるい・怠けてばかりいる』
『これぐらい我慢して当然だ』
『兄(姉)としてしっかりしないと』
『厳しいしつけが必要だ・
甘やかしているとロクな大人にならない』

というふうに、自分を、子どもを追いつめます。
親が姿を変えて自分の中に住み続けているのです。

このような不適切な関わりも、”しつけ”と言っておけば、
自分の言動を正当化することができます。
「”厳しいしつけ”が必要だから、”甘やかし”になるから、
子どもの要求は聞かなくていい。子どものためだから」
こう言っておけば、”何もしなくてもいい”ですよね。
自分自身に向き合う必要もありません。
しかし、世間を震撼させるような事件を起こした加害者の
生育歴がおおよそこのような”厳しいしつけ”によって
歪められて来た、ということは多くの書物などでも語られています。

子どもは育てたように育ち、
善くもわるくも、自分のやったことは自分に返ってくる、
ということなのだと思います。

こうして親・子・孫と代々受け継がれて行く親子関係は
世代関連鎖と言われています。
不適切な世代間連鎖は私たちの代で止めたいものです。

072.gifではどうすればいいのか

■このような怒りやイライラの感情、
自分や子どもを責める・叱咤する考えが頭に浮かんだとき、

「今、インナーチャイルド(ペアレンツ)が出て来たんだな」

のように現在の自分と区別すること、
インナーチャイルド(ペアレンツ)を俯瞰して見る、
一歩引いたところで眺める、など
心を占領されないようにすることが必要です。

脳に出来上がっている不適切な回路を
適切なものに変えていくため、専門家の助けを借りながら
実践を積み重ねることをおすすめします。

■また、インナーチャイルドの浄化には

『辛かったね・悲しかったね』
『もっとかまって欲しかったよね』
『本当に、よく頑張ってきたね』

などの適切な共感や癒しの時間が必要であり、
インナーペアレンツには、そのような刷り込みに
気づき、決別する作業が必要なのです。

最後に、厳しいしつけがもたらす心理作用について、
おすすめの書籍をご紹介します。
著者の長谷川博一先生は、秋田児童連続殺人の
加害者の心理鑑定をはじめ池田小や土浦の
無差別殺人の加害者との接見をされてきた方です。

お母さんはしつけをしないで

長谷川 博一 / 草思社

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「わが子」の気持ちが分からない! (PHP文庫)

長谷川 博一 / PHP研究所

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by cherish-chu | 2010-05-27 17:51 | 生き辛さの対処法